アルゼンチン式縦型グリルで晩秋の焚き火BBQ

アルゼンチン焼肉でポピュラーなクルス(十字)型グリル

南米式焼肉「アサド」の聖地アルゼンチン。パリジャーダと呼ばれる焼肉専門店に行くと店先で丸ごと一頭の子羊や牛の肉塊が薪の火を囲むようにして焼かれています。日本ではまず見ることのない光景ですが、これは街の日常風景です。肉汁を滴らせながら遠火の直火で焼かれる肉塊の姿はBBQラバーにはたまらない光景です。

十字型の鉄串(クルス)に肉を固定して薪で焼く南米アルゼンチンの焼き肉屋パリジャーダの光景。

こうした店では大抵縦長の鉄杭に1-2本の横棒を取り付けたクルス(十字型の意)というグリルが使われています。このクルス型のグリルは特に豚や羊の丸焼きを作るのに最適な形で、通常は薪の火で数時間かけてじっくり調理します。

広大な牧場を仕切るガウチョ(牧童)たちが発祥とも言われる、まさに肉食大国アルゼンチンを象徴するこのシンプルなクルス型グリルは僕の長年の憧れなのですが、流石に日本でこのサイズの肉を焼く機会はなく、僕の中では使いたくても使えない幻のグリルでありました。

クルス型と同じコンセプトの縦型グリルをアルゼンチンから取り寄せ

肉食の本場アルゼンチンでは休日になるとあちらこちらで焼肉、アサドの煙が上がります。これらは基本的に庭で行うBBQですから、アルゼンチンには様々なBBQグッズが売られています。僕はネットでParillas Argentinasというお店のサイトをよく見るのですが、日本でもよく見る北米USAのBBQグッズとは趣が異なる、肉食の本場南米ならではの独特のグッズがたくさんあって見るだけでも楽しめます。その数多いBBQグッズの中で目を引いたのがESTACA DE HIERRO TREFILADO TIPO LIBROという縦型のグリルでした。

ESTACA DE HIERRO TREFILADO TIPO LIBRO。四角い鉄枠と鉄棒でできた網を2枚重ねて肉を固定する。

このグリルは直訳すると「本型の鉄棒と杭」。これだと何だかよくわかりませんが、写真のように四角い鉄枠に10本の鉄棒を横向きに付けて網状にし、これを2枚重ねた間に肉を挟んで固定する(ここが本型)仕掛けのグリルです。鉄枠のサイズは縦60㎝x横40㎝。結構大きい肉も焼けそうだし、網状なので反対に塊肉以外にも対応できそうです。架台に乗せれば角度も調整も容易にできます。総じてクルス型グリルの特徴を残しながら使い勝手を良くした感じです。これなら日本のBBQでも使えるだろうと考え、思い切ってアルゼンチンから取り寄せることにしました。

縦型グリルは焚き火にピッタリ、本格的な薪BBQが可能

注文は直接アルゼンチンのお店にメールで行い、支払いもPayPalでスムーズに出来ました。

届いたグリルを組み立ててみると思っていたよりサイズが大きかったです。実はもうワンサイズ下のものもあったので、そちらの方が良かったかと一瞬思いましたが、大は小を兼ねる、南米流のダイナミックさを貫くにはやはりこのサイズで正解だったと思います。この型のグリルは構造からも基本的に薪専用ですが、キャンプの焚き火にもピッタリな感じです。アルゼンチンで焼肉は炭か薪を使いますが、上等なのは薪を使ったアサードです。

コストコのサーロイン4枚とブラジルソーセージを並べて焼く

さて折角手に入れたこの縦型グリルですか、大きさに加え、ある程度厚さのある肉を挟まなければ固定が難しいこともあって、なかなか実戦で用いる機会がありませんでした。今回はようやく人数が多いBBQを催すことになったので、満を持しての登場です。

今回用意したのはコストコのサーロイン4枚と僕のBBQの定番、ブラジル風生ソーセージ「リングイッサ」です。

軽くマリネードしたコストコのサーロイン4枚とブラジル風生ソーセージ「リングイッサ」を網に乗せます。

実際に網に並べてみるとコストコのサーロインが小さく見えます。このくらいの厚さと量の肉がないと上手く網に挟めません。流石は肉食世界一の本場の品で、半端な量は受け付けないようです。

上から網をもう一枚重ねて固定。最低このくらいの量と厚さの肉が必要です。

この夏拡張した庭のファイヤーピットで調理開始

肉を網に固定したらいよいよ調理に入ります。この夏拡張して広くなった庭のファイヤーピットを使います。地面に直接火を起こしても良かったのですが、火との距離やグリルの加減調整を考えてキャンプ用の焚き火台を使うことにしました。網は角度調整が出来る専用の架台に取り付けます。

網を架台に取り付け角度を調整。薪はキャンプ用の焚き火台を使って燃やしました。
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炎の先が肉にかすかに当たる程度が良いらしいです。

塊肉の基本は遠火の直火でじっくり焼いていくことです。ただこの厚さのステーキ肉とソーセージをあまり長時間焼くと脂が抜けすぎるので、もう少し距離を詰めても良いと思います。炎の先がわずかに肉に触れる程度が良いらしいです。なお、サーロインの肉は脂分を加えるためにオリーブオイルベースでマリネードしました。

途中で表裏を返して約1時間じっくり焼く

途中で表裏を逆にして薪で焼くこと約1時間。大体良い塩梅に肉が仕上がってきました。このくらいの肉の量なら市販の比較的小型の焚き火台を使うのが正解だと思います。火の加減がしやすく調理が容易です。もっと大きな肉塊を焼く場合は、もう少し大きな焚き火台か、本格的な焚き火がよさそうです。この場合は火と肉の間の距離をもっと取り、その分より時間をかけてじっくり焼くことになります。

途中表裏を返して約1時間で良い加減に焼けてきました。
架台から網を外して調理完了。

薪の煙で肉にスモーク風味が加わる

焼き上がった肉にナイフを入れるとかすかにスモーク風味が感じられます。これぞ薪BBQ特有の風味です。出来れば焚き火に使う薪の種類にも拘ってみたいですね。

仕上がって上下を網に挟まれた状態の肉とソーセージ
上の網を外したところ。
いい感じの焼き上がり!

焼き加減はちょうど良い感じで、思ったよりも手間も要らず楽に焼けました。このグリルを使い、本格的な焚き火でもっと大きな肉や魚を焼いてみたくなります。車にも普通に積めるので、キャンプ場にでも持って行ったらとても目立ちそうです。これからが楽しみになってきました。

この夜は盛大に焚き火を楽しみました。