憧れのマイ石窯キットを購入して組み立てました

日本では今一つマイナーなオーブン料理

皆さんオーブンってよく使いますか?僕はオーブン料理というのは日本人には今一つ馴染めない調理法だと思っています。もちろん大概の家庭には電子オーブンレンジが備わっていると思います。ただ、レンジはともかくオーブンに関しては自分自身も含めて十分に使いこなしているとは思えません。これに対して欧米の料理番組を見ていると、料理の仕上げにオーブンを実によく使っています。また欧米の家庭を訪ねると日本なら業務用サイズのガスオーブン普通に台所にあるのを見ます。これはオーブン料理が文化であり、確かな歴史があるからだと思います。

ところで、そもそもオーブンとは何でしょうか。ウイキペディアには「熱した空気または壁面などから発する赤外線によって食品を加熱し、焼いて、または乾燥を行う閉じた空間の調理器具」と書かれています。日本の調理器具で言えばカマドが一番近いと思います。面白いことにアメリカのBBQ本にはKAMADOというカテゴリーがあって、実際にモノも売られています。しかし本家の日本で「カマド」や「窯」といった言葉を料理やBBQの世界で聞くことはあまりありません。やはりこれは欧米とのオーブン料理に関するバックグラウンドの違いだと僕は思います。

南米で知った窯料理の魅力

http://www.paraguayhope.org/gallery/

僕が昔住んだことがある南米パラグアイの田舎には、人が入れるくらいの大きさの、レンガを積んだ窯がよくありました。これは、普段使いというより、お祭り的な時に肉やトウモロコシのケーキなんかを大量に焼くための巨大オーブンでした。当時の僕はこうした調理法を知らなかったので、何のためにこの窯を使うのか、しばらくの間不思議に思ったものです。ただ、一度この窯で丸ごとローストした豚の頭を御馳走になったことがあり、その美味しさは今でも忘れられません。今思えばこの時の体験が、僕がオーブン料理に目覚めるきっかけだったと思います。

さて、こんな経験から、いつかは自分の石窯を持ちたいとずっと思っていたのですが、さすがにパラグアイで見たような窯を自分の家の庭に作るわけにもいかず、ただ思案を重ねるのみでした。ところが最近は石窯を使ったパンやピザがすっかりポピュラーになり、石窯キットやDIYで石窯を自作する方法なども雑誌やネットで紹介されるようになりました。いよいよ自分も憧れの石窯を持つ時が来たと思い、いろいろ検討して、最終的にキットを購入して組み立てたのが薪クラブ」さんから発売されている下の写真の石窯「ジョコフォルノ」です。

下段の組み立て。三段目までは鉄筋が入ってます。
組み立て完了。部材の石は最大60㎏あって結構重いです。

石窯の基本的なタイプと特徴

普段我々が最も目にする機会が多い石窯はドーム型のピザ窯だと思います。本格ピザを出すイタリアンレストランにあるのはこのタイプであり、最近ではホームセンターでもドーム型の結構立派なピザ窯が売られています。先に紹介したパラグアイの窯もドーム型でしたが、このドーム型というのは熱効率の関係から窯の理想型と言われています。ただ自作する場合は、特に大型であればきれいなドーム型を作るのにプロの左官屋なみの技術が必要というのが難点で、相当DIYが好きな人向けということになると思います。

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作り難いドーム型に対して最も作りやすいのが石やレンガをシンプルな方形に積んだ窯です。ただこの形は熱効率が最も悪いとされていて、主に簡易的に作る石窯に用いられています。ドーム型と方形の中間がアーチ形で、今回僕が購入した石釜も大別すればアーチ形に属し、作りやすさとほどほどの熱効率が特徴ということになると思います。

石釜の形でもう一つ重要なポイントは一層式か二層式かということです。一層式というのは要するに火を焚く空間と調理する空間が一緒なタイプで、短時間で調理するドーム型のピザ窯はたいていこのタイプです。二層式は火の調整と調理が別々にできるタイプで、窯の温度が低下した時には追い焚きが可能です。調理に時間がかかるパンやオーブン料理に適しています。構造は一層式の方が当然シンプルですが、汎用性は二層式が勝るということになるかと思います。

本格的でも組み立ては簡単な石窯キット「ジョコフォルノ」

さて、写真を見ていただくとお分かりのように、今回僕が組み立てたキットは二層式です。僕の場合はピザに加えてパンとか肉とかいろいろと調理して楽しみたいので、二層式は「マスト」の条件でした。この「薪クラブ」さんの石窯「ジョコフォルノ」は空気の流れとかの基本的な構造設計がよく考えられていると思います。重さが1トン近くあるので、ちょっと躊躇するかもしれませんが、重さを除けば組み立ては結構簡単でした。その性能については次回詳しくご報告しようと思います。