タケノコ(ネマガリタケ)採りと様似名物つぶめし弁当

北海道でタケノコと言えばネマガリタケ

タケノコと言えば普通は太い孟宗竹を想像すると思いますが、北海道では笹の一種、ネマガリタケの若芽を一般にタケノコと呼びます。ネマガリタケは北海道だけでなく東北地方などでもポピュラーな山菜だと思いますが、一方で毎年多くの遭難者や死者がでることでも有名かもしれません。

草丈2-3mあるネマガリタケの密林。

なぜネマガリタケ採りで遭難者が多いのか。ネマガリタケは草丈が2-3メートルある大型の笹ですが、下の方は葉が少なくて群落の中はトンネルのようになっています。このネマガリタケの密林トンネルに入り込んで、ひたすら下を見てタケノコを探すのですが、中に入ると周囲が見通せず、また移動も自由にできないので、容易に道を見失いやすいのです。

地面からひょっこり出て来たネマガリタケの芽

毎年恒例のタケノコ採りは山を越えて日高へ

ネマガリタケ(チシマザサ)は北海道ならどこでもあるかというと、実はそうではなく、主に日本海側を中心に分布しています。なんでもこれは積雪量と関係しているらしく、地上部の越冬芽が雪の上に出ると凍害に遭ってしまうので、積雪の多い場所でしか生存できないようなのです。この辺の事情はエコリスという会社のサイトに詳しい説明が載っていたので、興味のある方はご覧ください。

何れにしても、僕の住む十勝は雪が少ないのでネマガリタケはありません。札幌近郊だと、登山道のわきに結構群落があったりするのですが、十勝から近い場所というと山を越えて日高側まで行かなければなりません。そんなわけで今年も黄金道路を通って襟裳岬の方へ山を越えました。

建設にお金がかかり黄金道路と呼ばれた道。襟裳岬へ続く。
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山菜採りは「欲張らず」が肝心⁉

山菜採りでもキノコ採りでも夢中になるとついつい奥へ奥へと踏み込んでしまいます。これが事故や遭難のもとになるわけです。僕は山菜は基本的に季節の旬が味わえればそれでよしというスタンスなので、これまで危険な目には遭ったことはありませんが、何にせよ山菜採りは「欲張らず」が肝心だと思います。旬の味を味わう程度の量なら危険を冒さずとも比較的簡単に手に入ります。

山の頂上近くにあるネマガリタケの群落

僕の行くネマガリタケの採取場所は人も多く入るので、ちょっと行く時期が遅かった今回は本当に旬を味わう量しか採れませんでした。そのかわりというか、帰り道で結構たくさんのワラビが採れ、家に帰ってから塩漬けにしました。僕はワラビは塩漬けしたものの方が好きなので、これはラッキーでした。実は今年は天候のせいかワラビの出が早く、地元のいつもの場所では時期を逃していたのです。

道中採ったワラビ。
僕はワラビは塩漬けしたものが好きです。

タケノコ採りの後の定番、様似町へ

無事タケノコとワラビをゲットしたので、様似の街に向かいます。ここでの目的は先ずとても美味しいツブや海産物を売っている花蘂(かしべ)水産さんに寄ることです。ここの社長さんはとても親切な方で、以前立ち寄った際に刺身にするソイがないかと聞いたら、あちこち電話して手配してくれたことがありました。そして、ここで売っている何よりの名物は大型の様似産のツブ(マツブ)。これは日本一だと思います。

さあ今年もツブを買って帰ろうとお店に入ったのですが、いつものような大型のツブがなく、種類も少ないので驚きました。やはり懸念していた昨年の赤潮の影響なのでしょうか。社長さんに伺うと、やはり赤潮の影響でツブは激減してしまい、回復の見込みも立っていないようです。残念。いつもより小ぶりのツブと白貝を買って帰りました。

ところで様似というと最近は花の百名山「アポイ岳」を中心としたジオパークも有名ですが、美味しいツブや海産物が採れるのも独特の地質や地形と関係しているようです。自然というのは全てが結びついているのですね。

採りたてのタケノコを焼いて食べる

いつもは花蘂水産に寄った後で直ぐ近くの御食事処「女郎花(おみなえし)」さんで食事をするのですが、今回はちょっと考えがあって様似漁港へ移動しました。因みに女郎花さんは花蘂水産の社長さんのご家族(奥様?)が経営しているようで、海鮮丼とかが絶品で、様似に行ったら是非立ち寄るべきお店です。

さて、ちょっとした考えというのは採りたてのタケノコを昼食に焼いて食べようというものです。ネマガリタケは新鮮であれば焼いて蒸し焼きのように食べるのが美味しいのです。

縦に切れ目を入れてから、そのまま鉄板で焼きます。

先ず、火の通りをよくするためにタケノコには縦にナイフで切れ目を入れます。後はそのまま鉄板などの上で焼くだけ。中まで火が通ったところで外皮をむきます。

中まで火が通ったら外皮をはがします。

中から可愛いタケノコが出現します。採れたてはあくがなくて瑞々しくてとても美味です。

採れたてのタケノコは瑞々しくて抜群に美味しい。ここだけの味。

昼食のもう一つのメインは様似名物「親子岩潮風弁当」です。これも様似に来ると必ず買っています。この弁当は港近くのマルサン工藤商店で売っていますが、ツブがたくさん入っていて何度食べても美味しい。海を眺めながらつぶめし弁当と採りたて焼きたてのタケノコを頂き、幸せな休日となりました。

これも様似名物、粒がいっぱいの親子岩潮風弁当。