モチキビトウモロコシを使った本格トルティーヤとタコス

在来「モチキビ」でトルティーヤの生地を作る

以前の記事で手動のグレインミルを使うことでトウモロコシの実から満足のいくトルティーヤ用の生地を作ることにようやく成功したことを紹介しました。それまでは擂ると潰すという二つの過程が同時に上手く出来なかったのですが、ようやく課題をクリアしました。

今回は道の駅で買った苗を家庭菜園で育てて作った在来種の「モチキビ」で生地を作ります。モチキビというのは正式にはワキシーコーンと呼ばれる種類のトウモロコシです。名前の通りモチモチするのが特徴ですが、こうした性質を「糯性(もちせい)」と呼びます。具体的には種子中のデンプン組成にアミロースという成分を全くあるいはほとんど含まないトウモロコシのことです。このモチキビでトルティーヤの生地を作るとどうなるのか。ちょっと楽しみです。

北海道で黒モチキビと呼ばれる濃い紫色のトウモロコシ

先ずは必須のニシュタマリゼーション

先ずは生地作りに必須のニシュタマリゼーション(アルカリ処理)を行います。詳しい工程は以前の記事を参照ください。材料のモチキビトウモロコシに重量の3-5%の消石灰(ホタテカルシウム)を混ぜて煮立て、そのまま一晩置きます。

アルカリ処理前(左)と処理後(右)

ここで今までの黄色いトウモロコシと異なる変化がありました。上の写真のように処理後の実の一部が鮮やかな黄色に変わったのです。理由はよく分かりませんが、色が変わったのは実の基部の小花梗と呼ばれる部分だと思われます。

手動グレインミルは二度挽きで

さて次は手動グレインミルで生地を作ります。黄色と同様に実が上手く擂り潰されていきます。ただモチキビはやはり粘りがとても強くて、生地がミルにくっ付きます。実を細かくするというよりは潰していく感じが強くなっています。

モチキビは粘りが強く生地がミルにくっ付きます。

実が細かくはなりませんが、挽いた生地は粘りがとても強く、トルティーヤ作りは黄色より簡単に出来そうです。前回は実を一度しか挽きませんでしたが、今回は二度挽きしたので生地はさらに滑らかになりました。グレインミルは黄色も含めて二度挽きが良いと思います。

二度挽きした生地。細かくはないが強い粘りで滑らかな仕上がりに。

トルティーヤプレスで生地を伸ばす

生地を適当な大きさに分けて丸めたらトルティーヤプレスを使って伸ばします。この時トルティーヤプレスでプレスする両面をラップで覆うと生地がくっ付き難くなるのですが、モチキビの生地は粘りがとても強く、生地がラップの表面にべったり付いてとても剥がれにくかったです。

モチキビの生地は粘りが強烈でラップにくっ付き容易に剝がれません。

普通のトルティーヤとは一味違った食感がいいです

成形した生地を焼きます。いつものようにクレープパンを使います。フライパンでも問題ありませんが、クレープパンは厚みもあり、焼きやすくて仕上がりも良い感じがします。モチキビの生地は色がまだらで、本場のトルティーヤのレシピで見るような本格的なビジュアルになりました。

クレープパンで焼きます。まだら模様がどこか本格的な見た目になりました。
好みの具材を載せて出来上がったタコス。

焼き上がった生地に好みの具材を乗せます。今回はトマティージョ(食用ホウズキ)の代わりに酢で煮たキューリとピーマンを使って作ったサルサベルデにパクチーや豚肉、トマト、スモークサーモン、クリームチーズなどを使いました。モチキビのトルティーヤは生地の粘りから食感が異なり、いつもと違うタコスの味わいが楽しめました。見た目もいいですね。