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BBQの海外YouTube動画にはユニークなアイデアがいっぱい
アゼルバイジャンからWilderness Cookingを経由してトルコへ
以前のブログでアゼルバイジャン発のYouTubeチャンネルWilderness Cookingを紹介しました。知識も情報も少ないアゼルバイジャンという国、牛の頭や羊を丸ごと調理する文字通り野性的で迫力ある料理、そして美しい山々に囲まれた素朴な村の風景。数多い野外料理系のYouTubeチャンネルの中でもずば抜けた個性で、僕は初見からすっかり引き込まれてしまいました。このチャンネル、同好の士は世界中にいるようで、今やチャンネル登録者数219万人の人気チャンネルになっています。
この動画のように勝手に家畜を解体して調理することは、日本を含めた多くの欧米の国では食品衛生管理上から難しいと思います。有名なBBQ Pit Boysのような米国のBBQ系YouTube動画でも肉はパックから取り出しています。アゼルバイジャン発のWilderness Cookingは、家畜の解体から始めるという、現代では通常体験できなくなった肉調理本来の姿を見ることができ、これがBBQ動画として最大の魅力になっています。
アゼルバイジャンの動画にはまって以来、次から次と似たような国籍不明のBBQあるいはアウトドアクッキングの動画がYouTubeの画面に現れるようになりました。その中で次に僕の興味を引いたのがトルコ発の動画です。
さすがは世界三大料理の国、魅力的なトルコのアウトドアクッキング
料理と言っても僕が興味あるのは主にBBQやアウトドアクッキングになりますが、さすがは世界三大料理の国だけあって、トルコ発の動画はアウトドア料理も魅力満載で、欧米とも一味違う、独特の料理や調理法に魅力があります。
僕が先ず最初にお薦めするのはKadir Barcınという人の動画チャンネルです。チャンネル登録者数は42万人ですから、そこそこのYoutuberなのかもしれません。この人の得意は焚き火料理で、野外に出かけて、その場で火を起こして肉や魚を調理するパターンが多いです(海外の動画では野外でいきなり火を起こして料理するパターンをよく見ますが、これは日本では撮影が難しいと思います)。作る料理は彼の住んでいる地方の伝統料理がベースになっているようですが、野外料理と言っても結構手が込んでいて、スパイスの使い方などはとても参考になります。アゼルバイジャンもそうですが、トルコも回教国なので豚肉料理は出てきません。また酒は飲まずにもっぱらコーヒーやお茶を飲んでいます(この道具がなかなか素敵です)。
次のチャンネルもトルコ発です*。Uncle Hajji’s Kitchenという名の通り、ハッジおじさんが自宅の庭の自作のグリルや石窯を使って伝統的なトルコ料理を作ります。料理は基本アウトドアというかガーデンクッキングで、前述のように窯やグリルを自作しているのでDIY的な動画も含まれています。似たような構成の米国のBBQ動画に比べると、やはり料理のユニークさと幅広さ、そして奥深さが目立ち、ぜひ自分でも試してみたい魅力的な料理や調理法(DIYの窯なども含めて)が満載です。
*動画のタイトルにフランス、アルザスの表示があるので、ハッジおじさんはフランス在住トルコ人なのかもしれません。
とにかく酒をよく飲むロシア系BBQ動画チャンネル
「ラトビアから来たロシアの壺」で紹介したGEORGY KAVKAZというYoutuberは登録者数481万人というから、いったいどういう人なんでしょう。彼の地では超有名人なのでしょうか。撮影場所はコーカーサス地方なのは確かですが、そこがロシアなのか、はたまたアルメニアとかなのか判然としません。このチャンネルもワイルドさが飛び抜けていて、熊やラクダや大蛇を丸ごと庭で解体して料理したりするなど相当過激です。GEORGY KAVKAZ氏は料理の他にもコーカーサス山脈の自然やトレッキングなども動画にしていて、これも結構見ごたえがあります。また自分でワインやシードルも作っていて、料理中は絶えず一気飲みを繰り返しています。そんなこんなを見ていると、やはりロシア系動画は独特のちょっと過激な臭いがします。
このGEORGY KAVKAZ氏の動画から行き着いたのがГОТОВИМ НА ЮМОРЕというチャンネルです。これはもう完全にロシア語の世界で、読み方もわかりませんし、動画の中で話している内容もわかりません。動画を作っているのは息子とお父さんの親子で、自宅の庭を舞台にしたガーデンクッキングがメインです。料理を作るのは主にお父さんの方なのですが、このちょっとアル中気味のお父さんの風体がユーモラスでとても魅力があります。料理自体はワイルドな肉料理が多く、トルコ料理のような奥深さは感じません。しかし、絶えず酒を飲みながら陽気に調理するお父さんの姿がほほえましく、一緒にグラスを傾けたくなるような親しみがあります。( 最近お父さんが登場しないので懸念していたら、一月くらい前にコロナで亡くなられたようです。ご冥福をお祈りします。12月18日追記。)
独特の魅力を放つ中国系カントリークッキングの世界
さて、こうしたロシア、東欧、トルコなどの動画を見ているうちに、YouTubeの画面に現れるようになったのが中国系カントリークッキングのチャンネルです。そして、その一つが有名な李子柒 (リー・ズーチー)のチャンネルです。登録者数は1640万人。僕は全然知らなかったのですが、YouTube動画の世界では相当な有名人であり、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる一人のようです。動画の舞台は四川省の山間の村らしいのですが、知っているようで何も知らない中国の田舎の伝統的な暮らしや美しい田園風景の動画はとても魅力的です。最近のネット記事でリー・ズーチーが映像制作会社と金銭トラブルになっていると報じられていましたが、そんな話が裏付けるように、映像は素人Youtuberのものではなく、ある意味商業的に相当企画してプロが作っているようにも見えます。
リー・ズーチーの動画を見始めてから、これと似たような、女性を主人公に中国の田舎の生活を描いたYouTube動画が結構あることを知りました。その中で僕の一番のお気に入りは「野小妹=Wild Girl」です。
この手の中国系カントリーキッチングの動画は設定や基本的な構成がリー・ズーチーの動画とどれもよく似ています。単純にパクリなのかもしれません。何れも中国の山あいの農村が舞台で、主人公は女性。彼女達が畑や山で収穫した材料から伝統的な調理法で料理を作ります。見るからに素人の撮影した動画ではなくプロが作った映像で、ひょっとしたら全て同じ製作会社で作っているのかもしれません。どこまでが事実で、どこからがフィクションか判然としないところが謎でもあります。
野小妹の場合は、リー・ズーチーほど美人ではない、ちょっと田舎っぽい、まさに野小妹と呼ぶのにふさわしい女の子が主人公です。その姿は田舎の風景にとてもマッチしているのですが、ひょっとしたら彼女もオーディションで選ばれた娘なのか?と疑えなくもないところが逆に興味を引くところです。
動画制作の背景はともかく、とにかく動画の農村の風景は美しく、全体が「ディスカバー・ジャパン」ならぬ「ディスカバー・チャイナ」といった趣です。料理は素材、調味料、調理法、調理器具、どれをとっても我々が知る中華料理とは一味も二味も違っていて、いくら見ても飽きない魅力が満載です。僕は当分はまり続けそうですが、機会があれば皆さんもぜひ一度ご覧ください。
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