至高のアルゼンチンビーフを炭焼きグリルで味わう

待ちに待ったBBQの春到来です

温暖化が言われるようになってから、北海道でも年々春が早くなってきたように感じます。今年も雪解けは早く、日高山脈の山裾にある我が「BBQ Lodge El Dorado」の雪も4月になると急速に解け出しました。先週末は4月中旬だというのに道内各地で夏日が記録されたそうです(札幌では観測史上最速とか)。まあ、何れにしても北国の長い冬が明け、本格的なBBQシーズンが訪れたようです。

とっておきのアルゼンチン産骨付きリブロースを炭火でグリル

半年ぶりの、待ちに待った本格BBQ。今回は気合を入れて冬の間に購入しておいた、とっておきのアルゼンチン産骨付きリブロースを焼くことにします。実に楽しみです。

アルゼンチン牛肉については以前の記事(アルゼンチン vs USでビーフステーキ対決)でも説明しています。何しろ一人当たりの肉消費量が世界一という国ですから、肉へのこだわりは半端ではなく、当然そこで生産される、特に牛肉は世界有数レベルの高品質のものです。ただ高品質と言ってもアルゼンチン牛肉の肉質はサシの多い和牛とは対極をなす赤身肉のそれです。また食べ比べるとアメリカンビーフとも明らかに異なります。

アルゼンチン産骨付きリブロース800g

そんな魅力的なアルゼンチンビーフですが輸入量が少ないせいか近所のスーパーで見かけることはほとんどありません。僕は「ドンロッシ」さんという肉専門店の通販で購入していますが、ここのお肉は本当に美味しいです。アルゼンチン産だけではなくスペイン産の肉とかも扱っていて、正月に焼いたスペイン産の骨付き牛アバラ肉は絶品でした。

澄ましバターとペッパーで軽くマリネ

さて先ずは氷水で一晩かけ解凍した肉を軽くマリネードします。今回の骨付きリブロースは厚さが5cmくらいある立派なお肉です。ブラックペッパー、レッドペッパー、塩、そして澄ましバターを加えてマリネードしました。澄ましバターについて詳しくはcookpadのリンク先をご覧ください。英語ではclarified butterというそうです。バターの融点が上がるために焦げにくくなり、普通のバターを使うよりもステーキを焼いた時の風味が格段に良くなると、海外のステーキレシピでしばしば薦められており、僕も最近は定番的に使用しています。

澄ましバターを表面に塗り、塩、ブラックペッパー、レッドペッパー少々を振ります。
ラップに包んで1-2時間マリネードします。

Steak on the coals(肉の炭火直焼き)に挑戦

マリネードしている間に炭火を起こします。僕は炭にはあまりこだわりはありませんが(経済的な理由もある)、普段はホームセンターで売っている普通のBBQ用木炭を使っています。そして、これに同じくホームセンターでよく売っているオガ備長炭をミックスしています。オガ備長炭は普通のBBQ用木炭よりも火持ちがいいので、長時間火を使うBBQには重宝します。

炭火が十分に起き上がったところで、海外のBBQ動画でよく見る「Steak on the coals(肉の炭火直焼き)」に挑戦してみることにします。先ず炭の表面の灰をうちわなどで払い、そこにそのまま肉を乗せます。

十分に火が出来上がった炭の上に肉塊を直接乗せて焼く”Steak on the coals”。

ステーキの焼き方で鉄則とされるのが表面をカリッと焼くこと、そして肉の内部は時間をかけて適温になるまでじっくり焼くという二つのことです。この前段のカリッと焼くということには肉汁を逃さないという意味と、メイラード応反によって肉の風味を高めるという二つの意味があるとされています。焼き過ぎるのは良くないとされていますが、サイズの大きい塊肉の場合はかなり強めに焼いても中までは影響がなく、今回は厚さが5㎝もある肉なので思い切ってワイルドに攻めてみました。

片面2-3分くらいを目安に上下両面と側面にしっかりと焼きを入れます。

表面を一気に焼き、後はじっくり中をミディアムに焼き上げる

炭火の上での一気焼きは各面1-3分。やり過ぎは避けました。もう少し炭の火が強くなるのを待った方が良かったかもしれません。またオガ備長炭は表面に思ったよりも灰が多かったです。

肉の表面の灰を払って溶かしバターを塗り塩コショウを振ります。

一通り表面を焼き上げたら一旦肉を火から引き上げ、肉の表面の灰を落とします。仕上げの味付けに再度表面に溶かしバターを塗り、塩、ブラックペッパー、レッドペッパーを振ります。そして今度はグリルの網の上でじっくり焼いていきます。

炭を左右にずらして網の真ん中でじっくり肉を焼いていきます。

肉の仕上がりの判断に便利なステーキ用温度計

今回の肉の重量は800g。仕上げの焼き時間は両面合わせて25-30分くらいを予定しています。ただ最終判断にはステーキ用の温度計があるとやはり便利です。今回は温度を色で示す、SteakChamp Smart Steak And Roast Thermometerを使用しました。

このSteakChampのステーキ用温度計はヘッドにランプがあって内部温度が50℃(ミディアムレア)になると緑色に、58℃(ミディアム)で黄色、65℃(ミディアムウエル)で赤色に変わります。一口で言ってとてもシンプルで使いやすいのですが、厚みのない普通サイズのステーキには大げさ過ぎて使い難く、また何キロもある塊肉だと役不足、ちょうど今回位のサイズのステーキに特に適しているように思います。

ランプが緑色に点滅し始めると約50℃の内部温度。
点滅が黄色に変わると58℃(ミディアム)。

アルゼンチン産ワインと一緒に至福のひと時を過ごす

今回の焼き加減はミディアムと思っていたので(アルゼンチンでは比較的強めの焼き加減がポピュラー)点滅が緑から黄色に変わったところで肉を網から引き上げました。焼き時間は表裏で大体予定通りの25分くらいでした。肉は一旦アルミフォイルに包んで5-10分休ませます。

焼き上がった肉はアルミフォイルに包んで少し休ませます。
アルゼンチンを代表するブドウ品種「マルベック」の赤。

肉を休ませている間に赤ワインを開けました。ワインはもちろんアルゼンチン。アルゼンチンはチリに隠れていますが、肉だけでなくワインも世界レベルの国で、その代表的な品種がマルベックです。やはりアルゼンチン肉にはアルゼンチンワインということになりますよね。

さて、休ませた肉を切ってみます。表面はとても良い色に焼けています。そして内部はというと鮮やかな赤身肉が現れました。これはとても良い仕上がりですね。敢えて満点と自画自賛します。一口食べてみると、これぞ赤身肉の美味さ。焼き加減のグラデーション、濃い肉の味、そして適度な柔らかさと噛み応え。やっぱり美味しいですね、アルゼンチンビーフ!!

外の焦げ具合と中の鮮やかな肉色の美しいコントラスト。

最後に取り除けておいた骨に付いた肉にかぶりつきます。「肉は骨に近いほど美味い」。僕の大好きな開高健の「オーパ」にある名セリフですが、この言葉をまさに実感できます。この肉を噛みしめながらマルベックで流す至福のひと時。最高のBBQシーズン開幕でした。

骨に付いた肉にかぶりつく。肉は骨に近いほど美味い。