「ロー(低温)&スロー(ゆっくり)」で愉しむ大人のBBQ
「ロー(低温)&スロー(ゆっくり)で作るBBQは静かな大人のBBQである。」というのが僕のモットーです。もちろん家族や仲間とワイワイ楽しむBBQはとても楽しいひと時です。ただ、以前のブログ記事*に書いたように、塊肉を使い、長時間かけて仕上げるBBQは、大袈裟に言えば準備から調理までが一つのドラマであり、これこそが人生の上質な愉しみの一つだと思っています。*「BBQのエベレスト?!ブリスケットでシーズン開幕」「アメリカンBBQの定番プルドポークの魅力はスロークッキング」
「ロー&スロー」で作るアメリカンBBQの王道メニュー
「ロー&スロー」BBQを代表するのがブリスケットやプルドポークのようなアメリカンBBQの王道メニューです。肉を低めの温度で長時間調理することで劇的な味の変化を得ることができます。ブリスケットやプルドポークにはオフセットスモーカーと呼ばれる独特のグリルが使われます。グリル内の温度を130-140℃位に保ち、調理時間は少なくとも5-8時間位を要します。肉の準備や下味付け等を考えると一日では済まない大仕事になります。
長時間BBQでの温度とバランスの関係
ブリスケットのような長時間BBQでは最終的な肉の温度を90℃位までゆっくりと上げていきます。グリル内の温度が高ければ調理時間は相対的に短く、低ければ長くなります。何度かブリスケットやプルドポークに挑戦すると、温度に加えて時間の重要性がわかってきます。グリル内の温度が高く、調理時間が短くなると、例えばプルドポークの肉のほぐれ具合が今一つに感じることがありました。では時間は長ければ長いほどいいかと言えば、必要以上に肉の水分が失われたりして、これもよくないようです。要はグリルの温度を上手に一定に保ち、長過ぎず短か過ぎない時間の範囲で調理することが重要なのです。
長時間BBQの強い味方がKAMADOJOE
長時間BBQでは直火(ダイレクト)よりも火を間接的に使う(インダイレクト)やり方が主流となります。これは一般的に言えばオーブンを用いたローストに近いものです。この際にスモーク(燻煙)を同時に行うのが米国流BBQの特徴で、このために上述のオフセットスモーカーのような日本ではあまりポピュラーではないタイプのグリルが使われます。
以前の記事で紹介したカマド型グリル「KAMADOJOE」は独特の形状と素材によって長時間温度を一定に保つことに優れています。一般にグリルの温度調整は高くするのは比較的容易ですが、130℃位のやや低めの温度をキープするのは調整が結構難しいのです。この点KAMADO JOEは低めの温度調整にも優れていて、インダイレクトのスモークやローストには最適と言えるかもしれません。
豚肩ロース肉を10時間ローストする
今回は豚肩ロースのローストです。最近は肉の値段が上がっているのが悩みの種ですが、その点豚肉は比較的安価なので助かります。今回の豚肩ロースは約1.5㎏、前夜に塩と沖縄黒糖をたっぷりと表面にまぶしてラップし、一晩置きました。グリルの温度が130℃に達したら肉を投入します。肉の下のアルミパンには水が入っています。これは肉の乾燥を防ぐためです。
温度をキープしながらひたすらロースト
2時間もすると表面が少し色付いてきます。ここでアルミパンの水にリンゴジュースを加えます。リンゴジュースは豚肉と相性が良いのでBBQレシピにはよく登場します。1時間おきくらいに写真のようなスポイト等を使って肉の上からジュースを振りかけます。
肉の温度を知るにはワイヤレス温度計「MEATER」が便利
調理は肉の温度が90℃を超えたらゴールです。温度のモニターには肉温度計が必要ですが、僕が愛用しているのは本ブログでも度々紹介しているMEATERです。これはBBQ用のワイヤレス温度計で肉とグリルの温度が同時にスマホでチェックできる優れものです。(塊肉のBBQに超お薦めな画期的ワイヤレス肉温度計「MEATER」でローストポーク)
途中KAMADO JOEの温度が上がらなくなる
グリル内の温度は130℃を目標にしたのですが、途中4-5時間が経過して温度が110-120℃位に下がり、空気窓を開けてもそこから上がり難くなくなりました。こうなると肉の内部温度もなかなか上昇しません。今回の炭は最近ホームセンターでもよく見かけるようになったKINGSFORDのBBQ用木炭を使ったのですが、どうやら時間が経過して燃焼が進み通気が悪くなったようです。KINGSFORDの炭は燃焼するとほぼ完全に灰になるのですが、その灰がグリル内の通気を悪くしているようです。KAMADOJOEは下から上に抜ける通気で温度調整するので、そのために温度が上がらなくなったようです。一度肉や網を外に出し、グリルの中の灰を取り除いて炭を足して再調整しました。その結果、温度は回復しました。KAMADOJOEで長時間調理する時は通気を妨げないような炭の種類や配置が必要なようです。なお、KINGS FORDの炭は一般的なBBQでは使い勝手が良く、愛用しています。
開始から10時間でロースト全行程が終了!
炭を入れ替えてからは順調にグリルの温度が上昇し、9時間半で肉の温度が90℃を超えました。肉をグリルから下ろしてアルミフォイルで包み30分程休ませることにします。
肉を休ませている間にグレービーソースを作ります。アルミトレイの中で煮詰まったリンゴジュースには上から肉汁が加わっています。これを温め小麦粉を入れてちょっと煮詰めます。
アルミフォイルを開いてナイフで肉塊を切り開きます。いい塩梅の仕上がりです。今回は塩と黒糖だけを使った味付けで、香辛料は黒コショウくらいしか使っていません。途中から使ったリンゴジュースがいい味を出しているようです。ちょっとクリスピーな外側を摘まみ食いしてみたらとても美味しかった。
皿に盛ってみました。甘いグレービーソースと絡めたマッシュドポテトが合いますね。
肉をほぐしてプルドポークに。10時間調理の成果かほぐれ具合がとても良く、味も抜群でした。
コメントを残す